
2024.05.13
引出物とは?内祝いの違い、金額相場、マナーまで徹底解説
結婚式や特別なイベントで配られる「引出物」と、結婚や出産などのお祝いを受けた際に贈る「内祝い」。
これらのギフトにはどのような違いがあるのでしょうか?
本記事では、引出物の意味や選び方、金額の相場、そしてマナーについて詳しく解説します。適切なギフトを選び、相手に喜ばれるためのポイントを学びましょう。
引出物とは?
引出物の意味と起源
日本の結婚式において、出席者への感謝の気持ちを表すために新郎新婦から贈られる贈答品が「引出物」です。元々は、平安時代に貴族や大臣たちの間で行われていた宴に参加されたお客様へ、主が馬を庭へ引き出して、お土産として贈ったそうです。この、「引き出す」という言いまわしが、「引出物」という意味合いで使われるようになったと言われています。
近代の変遷
昭和時代に入ると、結婚式のスタイルが西洋化される中で、引出物を贈ることも一般的になりました。現在では、食器やタオル、好きな商品が選べるカタログギフト、嗜好に合わせたアイテムなど、幅広い品目が引出物として選ばれています。引出物を贈るタイミング
通常、結婚式当日の披露宴でご祝儀1つに対し引出物を贈ります(家族でご招待の場合はご家族で1つの引出物)。引出物を受け取ったゲストは、一般的にはその場で開封せずに持ち帰ります。これは、受け取った贈り物への敬意を表す日本特有のマナーです。
また、最近では海外挙式や結婚式を行わないカップルも増えており、その場合宅配サービス等を利用してお祝いをいただいた方のご自宅へ「内祝い」をお届けしましょう。
遠方ゲストへの配慮
遠方から参列されたゲストに対して、持ち帰るのが大変だろうと気にかける新郎新婦も多いですが、手ぶらだと物足りないゲストもいます。その場合、負担にならない重さやサイズのお品物(カタログギフト等)を選ぶと喜ばれるでしょう。または、当日は引菓子や縁起物をお渡しし、後日引出物をご自宅に届けるサービスなどを利用する方法もあります。内祝いとは?
内祝いの本来の意味
内祝いは、本来身内のお祝いを意味します。おめでたい事があった際に、親族やお世話になった人へお品物を贈り、その慶びを分かち合うものでした。最近では本来の意味とは異なり、お祝いをいただいた方へ「お返し」をする目的で贈るケースが一般的です。
ただ、ご出身の地域によっては本来の内祝いの意味で贈られることもあるため、地域の慣習に合わせると良いでしょう。
内祝いの種類
【結婚内祝い】
結婚内祝いを贈るケースは大きく2つあります。結婚式に出席されて、いただいたご祝儀が高額で当日お渡しした引き出物では不十分だと感じた場合。もうひとつは、結婚式に出席していない(もしくはご招待していない)、もしくは結婚式を挙げていないけれどお祝いをいただいた場合に、「結婚内祝い」としてお礼の品を贈ります。
【出産内祝い】
赤ちゃんが誕生し、お祝いをいただいたお返しに贈るのが「出産内祝い」です。贈るタイミングは、誕生から1か月のお宮参りの頃が目安です。引出物と内祝いの違い
目的と贈るタイミングの違い
引出物は、結婚式の主催者である両家もしくは新郎新婦がゲストに感謝の意を示すために贈る品物です。一方、内祝いは、結婚や出産などのお祝いを受けた際に、そのお祝いに対する感謝の意を示し、お返しとして贈る品物です。内祝いは受けたお祝いに対してどのように感謝を表現するかが重要であり、日本のギフト文化において重要な役割を担っています。
行事 | 引出物 | 内祝い |
---|---|---|
結婚 | 出席者への感謝の品 | 祝儀をくれた人へのお返し |
出産 | 該当なし | お祝いをくれた人へのお返し |
贈る相手との関係性
引出物は、披露宴に参列してくれたすべてのゲストに一律に同じ引出物を贈ることが慣習でした。しかし、現在はゲストとの親密さやお祝いのご祝儀金額によって贈る品物を分ける「贈り分け」が主流となっています。関係ごとに、友人・会社関係・親族と3~5種類程度に分けられています。これに対して、内祝いは、お祝いをくれた特定の個人や家族に対して贈るもので、その人との親密さやお祝いの規模によって内容が異なることがあります。
贈る品物の配慮
受け取る側のライフスタイルや好みを考慮したギフト選びが求められます。例えば、ご家族同居のゲストには家族で使える食器やカタログギフト、子供がいるご家庭にはオーガニック製品やキャラクター商品、若い独身ゲストには趣味アイテムやタオルなど日常使いできる商品を贈ると喜ばれます。
ただし、せっかくの贈り物をしてゲスト間で気を遣わせないために配慮が必要です。
・全員同じサイズの紙袋に入れてお渡しする
・品数がわかりにくい形状でお渡しする
・同じテーブルに座っている人の品数は同じにする
引出物の種類と選び方
記念品
新郎新婦が選んで贈る記念品では、ご自身の出身地にちなんだ商品や、ブランド食器やタオル等などがあります。カタログギフトは受け取った相手が自分で商品を選べるため、非常に人気があります。種類も豊富で、予算に応じて様々なグレードのものが用意されています。特に結婚式の引出物として選ばれることが多いです。
引菓子
引菓子は、幸せのおすそ分けとして贈られるお菓子です。和菓子から洋菓子まで種類が多岐にわたります。近年では、お酒やコーヒー・紅茶・ドレッシングなど、様々な食品が引菓子として選ばれています。これらは特に大人のゲストに喜ばれる傾向にあります。
【人気の引菓子】
- バームクーヘン
幾重にも重ねて焼き上げた断面が木の年輪のように見えることから繁栄や長寿、幸せを重ねるという意味があり縁起のいいお菓子 - 焼菓子詰合せ
個包装で日持ちする上に、いろいろな種類の味が楽しめる - お菓子以外
「八十八」という文字から縁起のよいお米、麺類・パン・ドレッシングなど幅広い年齢層に喜ばれる様々な商品があります
縁起物
その名の通り縁起が良い品物。「夫婦円満」や「長寿」などの意味が込められた御品を記念品・引菓子と併せて贈るのが一般的です。【代表的な縁起物】
- かつお節
雄節(背)と雌節(腹)を合わせると夫婦一対となる姿が、「夫婦円満」を象徴していると言われている縁起物の代表格「かつお節」 - お茶漬け最中
縁起のいいものをかたどった最中茶漬け!長寿の象徴「亀」や「梅」などをかたどったものから、「めでたい」から語感が縁起がよいと言われる「鯛のお茶漬け」も人気 - うどん
昔から長寿の縁起物として太くて長いイメージから『夫婦生活が長続きするように』という願いが込められています
シーン別おすすめアイテム
結婚式や出産の内祝いなど、シーンに応じて適した品物が異なります。代表的な人気の商品例をご紹介します。シーン | おすすめの品物 |
---|---|
結婚式 | カタログギフト、食器(お皿、グッズなど)、高級食材セット |
出産祝い | ベビー用品、子供服、子供向けカタログギフト |
出産内祝い | 赤ちゃんの名前の入ったお菓子、カタログギフト、今治タオル |
引出物の金額相場
引出物の金額は、贈る相手との関係性に大きく依存します。冠婚葬祭マナーには地域差もあるため、ご両家で相談しながら決めることをおすすめします。
一般的な相場は、メインギフトの記念品がご祝儀の10分の1(10%程度)、引き菓子と縁起物が1,000円~1,500円程度です。

ご関係 | 親族 | 友人・会社同僚 | 会社上司・恩師 |
---|---|---|---|
ご祝儀 | 5〜30万円 | 3~5万円 | 5〜10万円 |
引出物 | 5,000〜30,000円 | 3,000〜5,000円 | 5,000〜10,000円 |
引菓子 | 1,000〜1,500円 | ||
縁起物 | 1,000〜1,500円 |
無理なく心のこもった引出物を用意することがもっとも大切なことです。
引出物のマナー
のし紙の種類
結婚式の引出物や内祝いでは、華やかな祝い事のため、紅白の10本の結び切り水引を使います。結び切りは一度結んだらほどけないことから、弔事全般の「二度と繰り返してほしくない事柄」に用いられています。表書きには「寿」と書かれたのし紙を使用します。
出産内祝いでは、紅白の蝶結びの水引を使います。
蝶結びは、結び目を何度でも簡単に結び直せることから「何度繰り返しても良いお祝い事やお礼」などに用います。表書きは「出産内祝い」「内祝」「御祝」と書かれたのし紙を使用します。
名前の書き方
結婚式の引出物の場合、送り主である両家名(例:◯◯家、もしくは◯◯)を書きます。日本では結婚は家と家との結びつきと考えられていますので、右に新郎姓・左に新婦姓が一般的です。 最近では、本人同士という考えもあり、その場合は新郎の姓名と新婦の名(◯◯ 太郎、の横に花子)のパターンもあります。
出産内祝いでは、生まれた子供の名前(例:太郎)と書き、漢字の名前の場合、ふりがなを付ける必要があります。
のし紙の包み方
のし紙は、贈り物の包装紙の外側に包む「外のし」と、包装紙の内側に包む「内のし」があります。外のし:結婚式などのお祝い事には、誰からの贈り物かを一目でわかるように外のしを使う風習があります。しかし、外側にのしがあることで汚れたり破れたりすることがあります。
内のし:控えめな印象を与えます。また宅急便などで引出物を送る場合は内のしを選択しておくと良いでしょう。
お礼状の書き方とタイミング
お祝いを受け取った際のお礼状は、丁寧な言葉遣いで感謝の意を表します。具体的には、受け取ったことの確認と、贈り主への感謝が伝わるよう心を込めて書きましょう。また、お礼状を送るタイミングは、商品を受け取ってから遅れずに行うのがマナーです。電話やメールの場合は、受け取ったその日にお相手に御礼のご連絡をしましょう。
挨拶文 | 初めに品物が届いた報告と感謝の意を伝える。 |
贈物への言及 | いただいた贈り物について、感想やどのように役立っているかを詳述する。 |
タイミング | 贈り物を受け取った後、1週間以内にお礼状を送るのが理想的。 |
まとめ
本記事では、引出物の意味と起源、タイミング、場面についてご紹介しました。また、内祝いとの違いを明確にし、適切な引出物選びのポイントも解説しました。金額相場やマナーも案内し、地域差や関係性に応じた選び方を提供しています。今回の記事を参考に相手に喜んでもらえる引出物を選んでみてはいかがでしょうか。